タロットカードの大アルカナには、生きる姿勢や考え方のヒントが詰まっている。本のように気づきをもらえるところがとても好き。人生のあらゆる局面で大切なことを教えてくれる。
22枚の大アルカナの一つ、「運命の輪」のカードも私を勇気づけてくれる。幸運は自分の力で呼び込むのではない。タイミングに乗っかるのだ、と。
ウェイト版よりも古くに作られたカードを見てみると、よくわかる。
こちらはヴィスコンティ・スフォルツァ版タロットと呼ばれる、15世紀のイタリアミラノで作られた現存する一番古いタロットカード。
そもそも運命の輪は自分で回すのではない。幸運の女神が目隠しをして気まぐれに動かしているのだ。だから、自分の力をはるかに超えたところに運というものはある。
誰しも必ず、幸運の流れが来るときと停滞する時のバイオリズムが交互にやってくる。誰しも必ず。一生運がいい人も一生運が悪い人もいない。本人がそれに気づいているかいないか、その違いはあるけれど。
自分の力で運を呼び込む!と頑張ると、ものすごく力が入る。
最近運が悪いのは私のやり方が悪いのか?もっとたくさんのパワースポットを訪れて運をあげた方がいいの( ゚Д゚)?などと考えてしまったり。
それよりも、波がやってきていないと感じる時は波が来るのを待てばいいのです。
「いや、自分は根っから運がないタイプ」と思う人も、振れ幅が小さ目かもしれないけれど運気の波はあるはず。そこを見逃さないで。
努力していれば幸運がやってくるというイメージがあるけれど、正確には努力していると幸運に気づきやすいっていうことなのかな~と思う。いかに自分で今の流れを感じられるかがポイント。今は止まっておこう、今は動き出す時!そのタイミングを見計らえる人が、本当に幸運の持ち主なのかもしれない。
うまくいく時ってなぜか向こうからご縁がやってきた場合が多い。自分の頑張りよりもはるかにラッキーなことが起こったり、あっという間にトントン拍子で事が進んだり。あなたにもそんな経験ありませんか?
物事は絶対に移り変わっていく。それを受け入れて生きていける人って強い。私は変化に弱いたちなので、タロットから様々な勉強をさせてもらっています。タロットのよさって、占いが良く当たる♡っていうことよりも生きる指針になるところかな、と思う。
「運命の輪」を感じさせる一冊
私が「運命の輪」のエネルギーを感じる本は、村上春樹のダンス・ダンス・ダンスだ。
村上作品の中でも一番好きな小説で、内容もとっても面白いので心からオススメできるのだけど、特に主人公の動き方に「運命の輪」的姿勢を感じる。
そして羊男の台詞も「運命の輪」が表すことを表現しているような気がしている。大好きなセリフなので、初めて読んだ20年数年前からずっと心に留めている。気になったらぜひお手に取ってみてください!
「それで僕はいったいどうすればいいんだろう?」
「踊るんだよ」羊男が言った。
「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
僕は目を上げて、また壁の上の影をしばらく見つめた。
「でも踊るしかないんだよ」と羊男は続けた。
「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」
(村上春樹著 「ダンス・ダンス・ダンス」より)