【女子のお仕事インタビュー】イラストレーター(後編)


イラストレーターの諸橋南さんに、お仕事の掴み方、広げ方などをお伺いしています。

こちらは後編になりますので、未読の方は前編を先にお読みください。

●やればやるだけ見てくれる人がいる

高橋:諸橋さんはプライベートでもコンペに出したりデザフェス出たり、すごく精力的に活動しているじゃないですか。

諸橋:思ったよりはいい感じに進んでるなって思います。

高橋:自分の能力がどれくらいか試してみたかったって言ってましたもんね。

諸橋:そうなんです。とりあえず見てみたかったですね。やってみると思ったより声かかるなーって。
Tbooksさんもそうですし、やればやるだけ見てくれる人がいるなって。

学生時代はそんなに発信はしてなかったんですよ。とりあえず勉強、吸収!だったので。
発信を始めたのが日本に帰ってきてからで、意図的に出していかないと、自分で仕事を作らないと!と思って出していったら、面白いって言ってくださる方もいますね。

高橋:自分から発信していくことって大事ですよね。

諸橋:やりたいことをやって、そこから言われたことの方が自分はやりやすい。

高橋:そうなんですよね。でもそれがなかなか難しかったりする。

発信の方向性が間違っていると、いくら努力しても全然反応がなかったりするので、自分の市場を早めにわかるのも大切ですね。

諸橋:私は意外と広告の食べ物系と縁がありますね。

ボジョレ・ヌーヴォーや、 ピザのパッケージデザインをしましたね。

高橋:ボジョレはコンペでしたよね。ピザはどういうつながりで・・・?

諸橋:高校の友達が食品会社に勤めてて、インスタを見て紹介してくれました。

美食家でも何でもないんですけど、それはそれで面白いなーと。

●口が上手くても下手でも、一目良い作品を見たら言葉なんて関係ない

高橋:つながりが活きてますね。2月にやっていた展示もデザインフェスタで出会った人のつながりで誘われたんですよね。

諸橋:そうなんです。その方と知り合ったのは、一番最初にデザフェスに出した時ですね。そこから交流が始まったんです。

初めて出店するといろんな人が話しかけてくるんですね。その人はかなり最初の方に来て、いいねって言ってくれたんですけど・・・

「あなたも本当に真面目にやりたいんだったら、名刺もこんなのじゃなくてちゃんと自分の住所と本名を載っけたやつと二枚持っておいた方がいいし、真面目な人が来たら見せられるポートフォリオを隠し持っておいていつでも出せるようにしておいた方がいいよ」とも言われて。

高橋:はーーーー。すごいわ。

諸橋:この人初対面なのに言うなあ!すごい言ってくるなあ!って(笑)。

でも確かにそれもそうだなと思いました。

高橋:確かに本当にそう。早めに教えてもらって良かったですね。

諸橋:すぐその忠告を素直に聞いて、名刺も2つ準備して、ポートフォリオも用意しておいて。
そういう人が来たらパッと見せられるようにしました。

高橋:恐らくデザフェス歴の長いその人がわざわざそう言ってくるっていうことは、それだけスカウトする人が来るっていうことですもんね。きっと見込みがあるから声かけてくれたんですよ。

諸橋:実際それ、かなり効きました。
いざという時にパッと見せると、「こういう作品もできるんですね」みたいな反応をしてもらえて。

ボジョレ・ヌーヴォー
のポスターも雑貨と一緒に飾るようにしたら「これ見たことある」って言ってくれたりもしました。

知っているのをやっていると、ある程度仕事ができるっていうことは伝わるじゃないですか。それで興味持ってくれる人もいるんですよね。

結果、その忠告してくれた方はすごくよくしてくれました。

高橋:それはすごく良い出会いだったかも。しかも1回目でそれを知れたっていうのはすごくラッキーだった。
よかったですね。

諸橋:いいですねー!で終わる人は多いんですけど、そうやってちゃんと言ってくれたので、予想外のことを言われておっ!!ってなった。

そんなこと言うんだったら素直にそうしてみようかなって。

高橋:それも海外での経験が活きたのかなぁ。ちょっと角も取れて・・・(笑)。

諸橋:昔なら「はぁ?!」ってなったかも(笑)。

高橋:血気盛んな時はね。

諸橋:うるせーってなってたかもしれないですけど。

高橋:いろいろ出会いがありつながっていきましたね。
隠し持つのは思いつかなかったけど、それだけ本気度を示すアイテムって大事なんだなあって、私も勉強になりました。

諸橋:ポートフォリオを見せるのは仕事に繋がりますね。口が上手くても口下手でも、一目良い作品を見たら言葉なんて関係なく、この人は本気で任せられるかどうかって伝わる。

高橋:デザフェスって、置いてあるものでしかその人の作品を知ることができないですもんね。
大体置いてあるものって統一感を出してるから、それ以外のその人の作風とか、こういうことできるってわからないじゃないですか。だからパッと見せてもらえると頼みやすいですね。

私もデザフェスに行ってTbooksに委託してくれる作家さんを探したことがあるのでわかります。結構大変でした。
イメージがわかないじゃないですか、目の前にあるこれしか。これが違うと仕事にはつながらないけど、声かけたときにパッと出してくれたら、確かにいいかもしれない。

諸橋:そうですよね。この人はいつでも準備万端なんだな、打てば響きそうだなって伝わる。

高橋:そういう心がけってデザイン以外のことも全部そうだなって思いますね。

●直接会った縁は大事にしたい

諸橋:今話していて思いましたけど、シルクスクリーンの作業場でもフラッと来るお客さんもいるんですね。予約なしに来て、最初は「時間もないし無理ですよね」って言っている人も、話を聞くとこの内容だったら今日できます、じゃあやってみる、となることもあります。

結局すごく楽しんで帰ってくれたりもするので、話さないとわからないことはいっぱいありますね。
接客で話し方を学んでいます。

高橋:それもデザフェスに役立っているんでしょうね。
接客も経験だからね、いろんな人と話して・・・。

諸橋:そうですね。
オンラインでポートフォリオを公開するサイトに登録したことがあって、「こういうことをやってる会社です」ってメッセージをもらっても、やり取りが途中で終わることがよくあったんですよ。

「今こういう人を探してて、ブランディングとか興味ありますか」と聞かれて、私が「イラスト中心でやりたいんですけどブランディングにもちょっと興味あります」みたいに正直に返したら、全く返事が来なくて。
直接だったらそういうことはないじゃないですか。オンラインだと急にプイって終わっちゃうなって。
やっぱり直接の方が好きですね。

ネットだと気軽だけど、ちょっと消化不良。直接会った縁は大事にしたい。

高橋:縁って強いですね。オンラインだと手当たり次第じゃないけど、ちょっと違うなって思ったらすぐやめたりしちゃうから、寂しいよね。

諸橋:そうなんですよ。何をわかってるのよって思う。

高橋:ちょっと行ってやめてって、きっと全ての人にやってるから。無限に選択肢が出来過ぎて結果選ぶ側も迷うことになったりします。

諸橋:選択肢が多すぎて、逆にどうなんだろうって思っちゃう。
自分もちゃんとぶつかってきてくれるものを作りたいと思うし、一人の人に作品にぶつかってこられる威力にはかなわないから。

●本を作るのって自分の部屋を作るのに似てるかも

高橋:今後やってみたいことはありますか?

諸橋:ZINEを作りたい。 昔作ったことあるんですけどね。
猫ちゃん(諸橋さんの作品:猫のレターセット)いるじゃないですか。あれは実はZINEから誕生したキャラクターで。
この子を使ったZINEを学生の時作って。

高橋:イギリスで?

諸橋:はい。友達と作りました。ニューヨークでホームレスを経験したことのある人にインタビューをして、体験談をまとめて。挿絵は全部あの猫なんですよ。キャラクターを使ってストーリーを挿絵にした内容です。レトロ印刷で。

学生の時は完成しなかったんですけど日本に帰ってきてから出来上がったので、 MOUNT ZINEていうお店で展示してみたり。ちょっとだけ売れました。

高橋:全部英語ですよね?

諸橋:はい、全部英語です。デザフェスでは外国の人が買ってくれたりもしました。

ZINEて全部が自分なんですよ。文章も、ページ送りも、全て自分でプロデュースできるので。もっとそういうのもやりたいですね。

高橋:本と感性が合うんですね。

諸橋:もともとそんなに読書家じゃないんですが、留学に行って夏休みが長くて、日本の図書館に通い詰めてた時期があって。
その時に本って面白い!って思ってから、すごい読書するようになりました。

ZINE作ったり 絵本作ったりしましたね。

本を作るのって自分の部屋、居心地のいい空間を作るのとちょっと似てるかもって思います。

この空間はこれだけ空いてほしい、字はこういうふう、っていうのは、家具の位置とか布とか色とかと似てる気がします。

高橋:自分の美意識、センスですね。

諸橋:全部詰め込める。

●予定調和が嫌いなんですよ。

諸橋:後は個展をやるのが目標ですね。今までの自分の作品で。

まだ自分のスタイルが確立できていないので、いろんなスタイルなんですよ。今までの作品を整理して変遷みたいな個展をやったら面白いんじゃないかって。

高橋:年表みたいなやつね。面白いじゃないですか!

諸橋:一人妄想してます。
デザフェス出しても振れ幅すごいですねって言われます(笑)。置いてる商品のスタイルも全然バラバラなので。

高橋:振れ幅すごいけど、それぞれいいなって思ってやってるんでしょ。

諸橋:そうなんです。飽きっぽいんですよ、恐ろしいほど。

高橋:系統決めなきゃダメなものなの?

諸橋:イラストレーター的には・・・

高橋:この人の絵はこういう風って、わかりやすくしたほうがいいのか。

諸橋:頭でわかっていても結局できなくて。
あるスタイルを極めている人の方が、客観的に見て安定してるから頼みやすいっていうのはあると思う。

高橋:それはウェブの世界で言うと何でもそうかもですね。
占い師でも、恋愛に特化した占い師、復縁に特化した占い師、みたいな特化型の方も多いですから。コンサルやカウンセラーも。

諸橋:特化したら強いんだろうなっていうのはわかるんですけど、私って予定調和が嫌いなんですよ。一回やって、あ、こういう風に仕上がるんだろうなってわかるとつまらなくなっちゃう。

高橋:いろいろやれると器用な感じはしますよ。

諸橋:どうなんだろう、器用貧乏かも。

高橋:さっき言ったコンサルとか占い師みたいに、自分の色を出すためにニッチなところに特化するのが流行ってますけど、特化するっていうのもどうかと思う部分もあるな。

ウェブが主流になると大量の人が出てくるから、そこで埋もれないために別に本当の本当は特化してないのに、自分はこの分野の専門家って見せる。

諸橋:ブランディングですよね。

高橋:そう。手法としてやってるから、なんか、商品の価値としてはどうなのかなって思っちゃいますね。

諸橋:そこでみんなが「私これ取ったからもうやらないでねー!」みたいに感じると、さめちゃう。

高橋:わかる。本当に特化してる?って(笑)。

諸橋:そうそうそう!

高橋:本当にそれ何年も何十年もそれだけやってる?もしくはそれに心底惚れこんでる?って。大抵そうじゃないんですよ。

諸橋:椅子取りゲームになっちゃうのも違うなーって。

高橋:最近のブランディングの方法としての特化は、私もすごい違和感がありますね。

諸橋さんはいろいろできるっていうことが、特化してるんじゃないの。

諸橋:逆に?

高橋:逆にね。
これもこれもこれもできるよっていう、柔軟性。
対極にある人が多いわけでしょ。私はこういう絵柄が売りです!って固定されてる人が多いと思うから。

諸橋:私はそれができないからこそいいなーって思っちゃうんですよね。
ないものねだりですね。

高橋:諸橋さんは無理やり特化してるわけでもないし本当のことだから。私はすごく良いと思います。

そこを逆手に取って個展できそうだけど。
さっきの年表もそうだし、例えば三日間で毎日内容が変わるのはどうですか?
総入れ替えするから三日来てね、って。
諸橋さんの作品ってそれぞれのスタイルに特徴があるし可愛いじゃないですか。だからその人の好みによって好きな日が違うだろうし。

ぜひ逆手に取ってやってみてほしいですね。

諸橋:なるほど!

高橋:特化するっていうことは他を捨てるっていうことになるでしょう。
私、それが抵抗あるんですよ。

諸橋:そうなんですよね。これもできたのにって可能性を見ちゃうから。

高橋:無理やりスタイルを決めなくてもいいのかなと思いますよ。
諸橋さんらしく、今後のますますのご活躍を楽しみにしてます!!

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