【女子のお仕事インタビュー】イラストレーター(前編)


視野が広がれば世界が変わり、縁を大事にすれば世界が広がる。

諸橋南さん(25歳)

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イギリスの大学でイラストレーションを勉強された後、日本で精力的にイラストのお仕事をされている諸橋さん。つまずいても自分で立ち止まって考え、切り拓いていく姿はとてもパワフルです。
やりたいことへの取り組み方のヒントをいっぱいもらえたインタビューでした。
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●悶々としてるんだったら、今挑戦した方がいい

高橋:諸橋さんは、 Tbooksで雑貨の商品を置いてくれています。

うちのデザイナーが諸橋さんのインスタを見て、お声かけしたんですよね。

諸橋:ありがとうございます。

高橋:普段雑貨を作ったりイラストの活動をされてるんですよね。
今のメインのお仕事は?

諸橋:稼ぎ的なメインはシルクスクリーンの作業場のスタッフです。

そこで週5日働きつつ雑貨をアートイベントに出してみたり、そこでつながりを持った方々や知り合いからお仕事を紹介してもらっています。

高橋:うちで置いてるのはカードやレターセットが中心なんですけど、可愛くて買いやすいみたいですね。
価格帯も安いのでフラッときた方にも人気です。女の子や外国人の方とか。

諸橋:うれしいー!

紙が好きなんですよ、昔から。
子供の時からすごい集めてたし、小さい頃もらったものももったいなくて使えなくて取っておいてました。

高橋:諸橋さんは横浜のご出身で。
大学はイギリスに留学されてましたが、高校はどんな学生生活だったんですか?

諸橋:高校は国際科があるちょっとユニークな学校でした。国際科にいる生徒さんを見ていて、海外に最初に興味が沸きましたね。

実は部活を3つやっていました。デザイン部の他に軽音部と女子サッカー部に入ってたんですよ。

高橋:活動的!

諸橋:高校生活は人の3倍楽しんだっていうくらい、ほんとに忙しくて充実していてましたね。

いろんな友達から音楽を教えてもらって洋楽を聴き始めたんですけど、イギリスの音楽や映画とか、カルチャーがすごい面白くて。

ビートルズやその辺の60年代から入ったんですけど、めちゃくちゃ影響を受けたので留学先はアメリカよりはイギリスがいいかなと思ってました。

高橋:でもいったん日本の美術系の大学に行ったんですよね。

諸橋:入った大学は一番行きたかった大学ではなくて。希望のテキスタイル科ではあったんですけど、滑り止めだったんです。最初はなにか見つかるといいなって思ったんですけど、やっぱり違うなーって感じてしまって。

高校の時から継続した「留学したい」っていう想いがあったから、じゃあこうやって悶々としてるんだったら、今挑戦した方がいいんじゃないかなって思いました。

高橋:入って割とすぐにこの大学は・・・って気づいた?

諸橋:最初から、ですね。自分が憧れだったりモチベーションが持てないと、そこで何か新しく見つけるっていう気にならないのかもしれない。

今思えばもうちょっとできたんじゃないかなと思います。でも、こうしたい!っていうものとのギャップに苦しんでたのかもしれないですね。

高橋:暗黒期って言ってましたもんね。

諸橋:暗黒期(笑)。何やってるんだろうな、結局妥協しちゃったなって思っちゃった。

当時、自分が一番カッコいいと思うことをやりたいと思ってましたね。日記にも何回も「きつそうだけどやりたいことをやりたい!」みたいなことが書いてありました。
楽だけどそのまま流されてるんだったら・・・って。

●いろんな事をすぐに決めつけちゃいけないなって。

高橋:留学しよう!ってはっきり決意したのはいつ頃なんですか。

諸橋:大学を辞めて今留学しようって決めたのは、夏前くらいですね。

でもやっぱり申し訳なくて、親に言うまでにも葛藤がありました。

高橋:親に言ったら、なんだかんだで行っていいよーって言ってもらえた。

諸橋:そこからは早かったですね。悩んでた期間はすごく長かったんですけど、パッと決めたら後はやるだけだったので。
大学はそっちのけで英語の勉強をしました。

高橋:イギリスで語学準備のコースの後、4年間イラストレーションの勉強をされて。
どうでしたか?イギリスの大学は。

諸橋:楽しかったですし、世界がすごい広がりましたね。
いろんな事をすぐに決めつけちゃいけないなって。

例えば自分で「私はこういう性格だ」と思っても、それは日本で育ってきて、ただの文化であって性格ではないかも、とか。

高橋:自分に対しての決めつけですね。

諸橋:絶対これは守らなきゃ!という固定観念を、めっちゃどうでもいいと思っている人が隣にいるんですよ。

そういうのってすごいびっくりするし、こうじゃなくてもいいんだ・・・!ってハッとする気づきがすごく大きかったです。

高橋:価値観が広がった。

諸橋:広がりましたね。これはこうって言っても、それだけとは言えないなみたいな、いろんなことに関する視点をもらえましたね。

高橋:イラストレーション以外のこともいっぱい吸収されて。

諸橋:ほんとそうですね。イラストレーションよりそっちの方が。考え方が広がったっていうのが留学でもらえた一番のギフトです。

●「私、これは無理だわ。じゃあ頼ろう!」ってなれた

高橋:イギリスで働くっていう選択肢はなかった?

諸橋:とりあえず行ってみて向こうでいろいろ吸収したいっていう気持ちで、その後は自分の気持ちに任せようって思っていたんです。

大学って4年間っていう終わりがあって、カリキュラムもこの日までにこれをやってという、一回入っちゃえば期限があるのでどんどんこなしていくんですよね。

でも働いて就職して、生活ってなるとまた違ってくるなと思いました。生活ってなった時に大変だな・・・と。

あと、自分の中での限界を知れたことがよかった。
「私、これは無理だわ。じゃあ頼ろう!」ってなれたんですよね。
前は格好つけたがりな部分が強くて、一人で抱え込みすぎてた。

留学中って生活するのにお金かかるじゃないですか。親のお金が主なので、節約しなきゃって思って毎日スーパーの一番安い、インスタント麺みたいなのばっかり食べて体を壊したんです。しかも食べるもののせいなのか気持ちも落ち込んできちゃって。全部一人で突き詰めすぎてたんですよね。勉強もちゃんとして!生活費も抑えて!みたいに。

一回壊れて、あー無理だ!って思いました。住居トラブルで追い出されてお母さんに電話をしたこともありましたし。

日本にいる時は自分が窮地に陥った時に絶対電話なんかしないのに、そこで自分の無理ラインが知れましたね。頼って生きてこう、みたいな(笑)。良い意味でですよ。

一人で全く違う世界に飛び込んだことで、自分がいかに恵まれていていたかっていうことが身に染みましたね。
友達も一から作らなきゃいけないし、自分が何も言わなければ誰も気にしてくれないので。

例えば今日予定が何も入っていないのは、誰にも構ってもらえない・・・じゃなくて、自分が何もやってないからしょうがない。全てに置いて自意識過剰なところがちょっと減った気がします。

高橋:丸くなったのかもしれないですね。

諸橋:丸くなりましたね。

高橋:あるよね、海外行くと。揉まれるよね(笑)。

諸橋:待つ時間が多すぎて、かなり待てるようになりました。
何もしないで待つ時間がすごく多いんですよ、海外に行くと。道は迷うし。私携帯電話持ってなかったので、道に迷ったら後は成り行き(笑)。

日本にいると、電車待っているだけでもちょっと手持無沙汰になって携帯見ようかってなるけど、何もしないでボーっとできるようになりましたね。
他の人のことを待っている間もイライラしなくなったかもです。

高橋:どうにもならないことを受け入れられるようになる気がする。
イライラしてもしょうがないよね。

諸橋:そうなんですよ。一回イライラしきって、自分の中のリミットが知れたのがよかった。

日本だと全てが便利だし、自分の全体力を使い切るほどすごい不効率なことがあんまりないから。
イギリスって生活もすごく不効率なんです。

高橋:そっか。現地で就職して生活して・・・っていうのは違ったんですね。

諸橋:めっちゃ吸収したわ!第一章留学生活終わり!みたいな。
第一章、第二章って感じですね。

高橋:第二章は日本でスタート。小説みたいですね。

諸橋:ですね。切り替え。

●縁をしっかり大切にして全力で応えれば、次につながる

高橋:それで2017年に・・・すごい最近なんですけど(笑)。
6月、7月くらいに大学が終わって日本に戻って来られて。

諸橋:吸収して変わった自分が日本でどういう化学反応を起こすか見たかった。日本でいろんな人達に出会って見方が変わるかとか。外国にいるとそれが当たり前になっちゃうので。

一番自分の変化を感じるのって、海外で培った物差しを日本に持って帰ってきて比べた時ですね。現地にいる時っていうよりは。

だから帰ってきたかったっていうのもあります。自分がどういくのか。第二章の私はどうなるのか。

高橋:第二章、どうですか?

諸橋:今のところは思ったより大丈夫です。いろいろ見聞きしてイラストの仕事のやりかたはわかってたんですよ。でもイラストレーターっていうのは特殊なので、結局人それぞれだろうなって。今は身に任せてる感じですね。

そこであった縁をしっかり大切にして全力で応えれば、向こうも応えてくれて次につながると思ってやってます。

高橋:就職活動は日本に戻ってきてすぐ始めたんですか?

諸橋:そうですね、とりあえず働くかー!と。

でもイラスト科だったので、周りもそんなにデザイン事務所でバリバリ就職するっていう子もいなくて。自分なりにイラストで少しずつやっていくっていう子が多かったです。

高橋:今働かれているところとイラストの仕事を掛け持ちでやっていこうとしていた?

諸橋:ゆくゆくはイラストの方が比重が大きくなったらいいなって。

高橋:そうですよね。

諸橋:今は本当に恵まれてますね。作品も作れる環境があるし、自分の作品を印刷したりもできるし。
シルクっていう技法自体がすごく好きなので。

高橋:作業場での業務は具体的にはどんなものなんですか?

諸橋:一番多いのは接客です。お客さんのこれを作りたいっていう相談を受けて、補佐とか。

高橋:シルクスクリーンの技法を使って何かに写す・・・?

諸橋:そうです。例えばグッズ作りたいですーって持ってきたデータを元に。

高橋:Tシャツとか?

諸橋:Tシャツ、バッグ。布系の。紙もありますけど。

お正月は福袋を作りましたね。
無地のバックとか制作に使う物も売ってて。

後はワークショップやイベントを考えたり。
展示をやることもあります。そういうの考えるの結構好きなんですよね。

高橋:いいですねー!ご自分で企画するんですか。

諸橋:そうです、自分で企画して。お金の相談とかはありますけど、やりたければやらせてくれるし。
上司とのしがらみもないので、何でもできますね。

後編に続きます)